ABA療育って効果があるの?

ほぼ無発語で知的障害のあった息子が2歳になったときから、3年間、家庭でABA(応用行動分析学)療育を行いました。
今回の記事では、ABA療育を体験してどうだったかについて書きたいと思います。

1.どうしてABA療育を始めたの?
私が息子にABA療育を行うことになったのは、ある本を読んだことがきっかけでした。その本のタイトルは、覚えていませんが、著者が東京大学の先生だったということは記憶しております。その本には、言葉を持たない子がABAをするとその後70%の確率で、TEEACHをするとその後30%(20%だったかもしれません)の確率で言葉を獲得するといった記載がありました。息子の場合、2歳前になってもほぼ発語がなかったため、なんの迷いもなくABAを始めることにしました。早速、その本で紹介されていたつ〇きの会に入会し、家庭でABA療育を開始しました。

2.ABA療育をやってみて効果があったの?
ABA療育を開始した頃、ほぼ無発語だった息子が3歳前には、機械的ながら二語文を話せるようになりました。2歳になるまで無発語の子に1年足らずで言葉を獲得させたわけですので、ABA療育は、言葉を獲得させるという点では、効果があったと言えると思います。ただ、残念ながら、息子は、言葉を獲得してから(3歳以降)は、伸び悩みました。なぜ伸びなかったということについては、いろいろな要因があると思いますが、息子の脳機能の障害が軽くはなかったというところが大きかったのではないかと個人的には思っています。テキストの初級から中級前半の課題については、長い時間をかけて、なんとか息子に習得させることができたのですが、中級後半から上級の課題については、習得不可能だったり、必死になって習得させることができたと思っていたら、後で、実は息子は理解できていなかったことが分かるといったことも多かったです。

3.ABA療育プログラムのどの部分が良かったの?
私は、ABA以外の療育方法を知らないので、他の療育方法との比較はできませんが、療育初期に、”マッチング”・”動作模倣”・”音声模倣”を習得させるというABAのプログラムは、本当に素晴らしいと思っています。息子に、これらのスキルを習得させるのにかなり苦労しましたが、”マッチング”・”動作模倣”・”音声模倣”の習得が、その後の言葉の獲得やさまざまな概念の習得につながりました。

4.なぜABA療育を辞めたの?
まず、ABAを辞めた一つ目の理由は、ABAのセラピーが苦痛になったからです。療育開始時は、息子が椅子から離れられないようにして、毎回、ほめて強化子(ご褒美)を与えるABAのやり方が有効だったのですが、息子は少しずつ成長し、毎回、ほめたり強化子を与えなくてもそれなりに勉強を教えられるようになってきましたので、もう普通に勉強を教えていこうという気持ちになりました。それから、二つ目の理由についてですが、前述のとおり、息子は、中級後半から上級の多くの課題について習得が困難になってきたからです。
このままABAのテキストの課題を習得させることに力を入れるのではなくて、息子を伸ばすことを第一に考えて、息子に合った教材を探しながら、また、夫婦で工夫しながら療育を進めていこうと考えたのです。

5.生まれ変わったとしたら自閉症の子供にABA療育をする?
療育は、結構しんどいので、正直、生まれ変わっても子供が自閉症ということは想像したくありませんが、もし、そうなったら、その子の状態によって、ABA療育をするかどうか決めると思います。
ただし、以下の①と②の場合は、確実にそうするだろうと思います。

①無発語で知的障害があった場合(まさに息子と同じ状態)
間違いなくABA療育をすると思います。前述のとおり、ABAの無発語から言葉獲得に向けてのプログラムは素晴らしいと実感しております。また、療育初期に習得を目指すマッチング、動作・音声の模倣は、言葉だけでなくさまざまな概念を獲得していく上で非常に重要なスキルになると感じています。

②言葉の遅れがない(知的障害もない)自閉症の場合
ABA療育は、絶対にしません。私は、ABA療育の強みは、言葉の獲得や会話の成立など言語面を伸ばすところだと感じています。なので、言葉の遅れがない自閉症児がABA療育でいったい何を学ぶのだろうと思うのです。(言葉の遅れがない、知的障害がないということは、マッチングや模倣なども当然できるはずだと思います。)
早期から家計に優しい病院や発達支援センターなどの療育を受けさせる、早めに幼稚園等で健常児集団に入れるなど、早期療育の基本どおりの療育を行えば、健常かそれに近いレベルまで状態が良くなっていくのではないかと思っています。

コメントを残す