言葉獲得への歩み②動作模倣

まねをするという行動は、言葉や概念などを学んでいくために必要不可欠なものであり、それゆえ、ABA療育において動作模倣や音声模倣の訓練は、とても重視されています。
我が家では、マッチングの取り組みを始めて間もなく、動作模倣の訓練を始めました。
ABA療育では、動作模倣の訓練は、ある動作をしながら、「こうして」と言って、子供にその動作のまねをさせるといったかたちで行われます。息子は、動作模倣がとても苦手で、最初に取り組んだ”片手を上げる”動作の模倣が数週間かけても全くできるようになりませんでした。プロンプトや強化子を工夫したり、テキストに書かれている他の動作で模倣をさせようともしましたが、うまくいきませんでした。私と妻は、途方に暮れ、しばらくABAセラピーを休むことにしました。
1ヶ月後、ABAセラピーを再開し、久しぶりに”片手を上げる”動作をさせようとしましたが、やはりできなかったので、模倣させる動作を息子が普段よく行う動作に近いものにしてみようと”膝を両手でたたく動作”に変えてみることにしました。そうすると、変えた動作がよかったのか、1週間経たないうちに、「こうして」と言って、膝を両手でたたく動作をすると、息子が模倣してその動作をしてくれるようになりました。息子は、ようやくこのときから、少しずつ、動作模倣を習得していくようになり、1ヶ月後には、10~15種類の動作の模倣ができるようになりました。

〇つまずきの要因を考察する
息子に動作模倣の訓練をしているときは、つまずきの要因がよく分かっていませんでしたが、息子が動作模倣を習得してしばらく経って、つまづきの要因が分かったので、そのことについて書きたいと思います。
息子に療育を始めた頃を振り返っていると、息子が動作模倣の訓練前に何度か動作の模倣をしていたことに気付きました。事例を2つあげますと、まず、私がじじ・ばば宅の庭にあったおもちゃの風車を回したところ、息子がにこっと笑って風車を回したことがありました。もう1つは、じじが息子のまねをしてくるくる回ったときに、それを見た息子がくるくる回ったことがありました。
以上のことから考察すると、私は、息子がABAでなかなか動作模倣ができなかったのは、模倣させようとしていた動作が息子にとって全く興味のない動作だったからではないかと考えるようになりました。息子は、興味がある、楽しいと感じる動作であればまねをしていたが、興味がない、楽しいと感じない動作については、まねをしようとしなかったと考えたのです。

〇我が家の失敗例から失敗しない動作模倣訓練の方法を考える
我が家の失敗例から、動作模倣につまずいた場合、こうやったらうまくいくのではという方法を考えてみました。

1.子供が楽しんでする動作、興味を持ってする動作を見つける。
息子の場合は、風車を回す、くるくる回る、スイッチ付きタップのスイッチをつけ たり消したりする、電気をつけたり消したりする、お菓子などの好物を口に入れる、 ジュースを口に入れるなどです。

2.1の動作で動作模倣の訓練をする。
・必ず、「こうして」と言って動作をした後に、その動作をさせるようする。
・食べる、飲むの動作については、反復して訓練できるよう食べ物や飲み物の量を微量にする。

3.2ができるようになったら、子供が生活の中でよくしている動作で動作模倣の訓練をする。
( 例) いただきます(手を合わせる)、コップ(スプーン)を持つ、バイバイ、立つ、座る、マッチングでしている重ねる等の動作、・・・・

4.3ができるようになったら、子供が興味を持たない、また、日常でもすることのない動作(例 片手を上げる)についても動作模倣の訓練をし、模倣できる動作を増や ていく。

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