言葉獲得への歩み③日常での取組

ABA療育では、子供に、マッチング、動作模倣、音声模倣、音声指示の訓練を十分に行った後、ようやく物の名前を教えるという段階に進みます。
我が家でも息子が2歳0ヶ月のときからABA療育を開始しましたが、物の名前を教える段階に入ることができたのは、息子が2歳6ヶ月になったときでした。
実は、私も妻もABA療育を始めてから、なかなか言葉を教える段階まで進まないことにあせっていて、息子の言葉獲得を少しでも早めたいとABA療育とは別に、日常で取り組みを行っていました。取り組みと言っても健常の子供を持つ親御さんが普通に子育てでしているようなことばかりですが、結果的に、息子は、ABA療育で言葉を教える段階に入る前に、「りんご」、「バナナ」、「にんじん」の3つの言葉と「来て」などの要求語を話すことができるようになりました。
ABA療育の言葉獲得に向けたプログラムは、確かに優れていると思いますが、健常児の言葉の発達段階で必要なことは、自閉症児が言葉を発達させていくためにも同じく必要だと思いますので、ABA療育をやっていたとしても日常でも子供の言葉発達につながる可能性のある取り組みはやっておいた方がいいと個人的には思っています。
以下、息子にABA療育で音声模倣の訓練を始めた頃からしばらくの間、日常で取り組んでいたことを整理してみました。
 これから、療育を始められる方に少しでも参考になれば幸いです。

①言葉の模倣をさせる(まずは単音模倣から)
ABAの音声模倣の取り組みで単音模倣の訓練を始めたのに合わせて、日常でも、物の名前の最初の音を言って、それをまねさせようと試みました。そして、息子が単音の模倣が上手になった頃からは、息子が高い関心を持つ食べ物を見せながら、その名前を言って、それをまねさせようとしていました。
【単音模倣の具体例】
・りんご
りんごは、息子の好物で、毎食のように食卓にも並ぶので、りんごを持ったり、指差しながら「りー」と言葉がけをしていました。最初のうちは、息子は、無反応でしたが、取組みを続けていると、息子は、時々、りんごを見て、「りー」と言ってくれるようになりました。

・ヨーグルト
ヨーグルトも息子の好物で、毎食のように食卓に並ぶので、「ヨー」と言葉がけをしていました。りんごよりは反応が悪かったですが、取組みを続けていると、たまに、ヨーグルトを見て、「ヨー」と言ってくれることがありました。

・ママ
ママのことを「マー」と言わせようと試みました。取組みを続けているうちに、ママを指差して「これ何?」と聞くと、息子は、時々、「マー」と答えることができるようになりました。

②読み聞かせ
言語能力を高めるために必要不可欠な読み聞かせですが、息子に読み聞かせをしようとしても息子は、なかなか絵本を見ようとしてくれませんでした。それでも、やらないよりはやった方がいいと思い、我が家では、私と妻それぞれが毎日最低1冊は読み聞かせをするというルールを決めて、読み聞かせを続けていました。

③タッチペン付ことば図鑑
息子は、興味があるものを何度もタッチペンでタッチして、そのものの名前を聞いていました。また、最初は興味がなかったものについても、徐々にタッチペンでタッチしてその名前を聞くようになっていきました。よって、これらの図鑑は、息子が言葉を覚えていくために、また、息子の興味を広げるためにかなり役立ったと思っています。

④要求を利用して要求語を覚えさせる
息子が生活の中でいろいろな要求をしてくることを利用して要求語を覚えさせようとしました。

・来て
息子が欲しい食べ物やおもちゃを取るために、私たちの手をとり、その場所に連れていく行動をよくとっていましたので、その度に、「来て」と言わせて「来て」という要求語を覚えさせようとしていました。

・やって
ハンモック遊びなど息子が喜ぶ遊びをしているときに、息子は何度もその遊びをするよう求めてきましたので、その度に、「やって」と言わせて「やって」という要求語を覚えさせようとしました。

・ちょうだい
息子がお菓子などの食べ物を欲しがる度に「ちょうだい」と言わせて「ちょうだい」という要求語を覚えさせようとしました。

息子は、上記の3つの要求語を覚えていく過程で、混乱して、例えば、「ちょうだい」という場面で「来て」と言ってしまう時期がありましたが、取組みを続けていたら、やがて、要求語を場面に応じて使い分けられるようになりました。

⑤手遊び
手遊びは、言葉を覚えたり、コミュニケーション能力を上げるのに効果があると言われていますが、我が家では、妻がよく息子と手遊びをしてくれていました。

⑥体操・ダンス
息子のようにもともとまねができない子にまねをするというスキルを身につけさせることは、言葉を発達させ、また、社会性を向上させるためにも必要不可欠なことです。
我が家では、よく、YOUTUBEの簡単な体操やダンスなどの動画を息子に見せながら、背後から手助けして息子にまねをさせていました。息子は、バナナ体操をとても気に入っていましたので、家族みんなで毎日のようにバナナ体操をしていた時期もありました。

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