言葉獲得への歩み④音声模倣

〇我が家の音声模倣訓練
マッチングや動作模倣について、つまずきを乗り越え、順調に訓練が進み始めた頃から、音声模倣の訓練に入りました。
ABA療育では、音声模倣の訓練は、まず、例えば、子供に向かって「あ」と言って、子供に「あ」とまねをさせる単音模倣から始めます。
我が家でも、まず、この単音模倣から取組みを始めました。息子は、1歳台で「まんま」を数回、発語したことがあったので、単音模倣は、すぐできるようになるのではと思っていましたが、訓練の初日、まず、「あ」の模倣をさせようとしたのですが、息子は、全くまねをして言うことができませんでした。試しに「ま」でもやってみましたが、だめでした。このとき、最初に試す音の模倣ができるようになるまでかなり時間がかかりそうで通常のセラピーではしんどいと感じたため、2日目から以下の方法で息子の発声を促そうと試みました。

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・息子の好物のアイスかヨーグルトを持ち、息子が近づいて来るのを待つ。
・息子が、アイス等を欲しがり近づいて来たときに、息子に向かって単音を言って、息子にまねをさせようとする。
・息子がまねをして発声できたらスプーンでアイス等を微量あげる。
最初は、異なる音でも発声できたらOK、次のステップでは、同じ音か近い音を発声できた場合のみOK、最終的には、同じ音を発声できた場合のみOKとした。

【所属していたABAの会で効果があると言われた方法】
所属していたABAの会で「子供が発した音をまねしてあげると音声模倣の習得に効果がある」という話を聞きました。息子が発した音(例 うーうー)を発した直後にまねして言うと息子がその音をまねして再び発することが時々ありました。この方法を時々行いながら音声模倣の課題に取り組んで良かったと思っています。
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上記の取組みを続けていたところ、息子は、1週間ほどで、「あ」を模倣して言うことができるようになりました。
次に、同様の方法で「ん」の模倣をさせようと取り組み、息子は、1~2日で「ん」の模倣ができるようになりましたが、「あ」の模倣がいつの間にかできなくなっていることに気付いたので、再度、「あ」の模倣ができるようになるまで練習をしました。
そして、その後、「あ」と「ん」のどちらかをランダムに言って、それと同じ音を模倣させる訓練を行いました。この頃から、ようやく親子ともに椅子に座って、通常のセラピーと同じかたちで訓練を行っていきました。単音模倣の訓練は、この後も順調に進み、息子が模倣できる単音が徐々に増えていき、1ヶ月経たないうちに、新しく訓練する音でもすぐに模倣できるほどのレベルになっていきました。単音の模倣が上手になった頃からは、単語の模倣の訓練も始め、息子は、単語の模倣も2ヶ月ほどで、上手にできるようになりました。

〇音声模倣でつまずいたときにどうするべきか
息子が言葉を獲得していくまでの過程を振り返り、なかなか音声模倣ができない場合にどうするべきかについて、自分なりに考えてみました。

1.子供の関心が高い物の名前をたくさん言い聞かせる
息子は、ABA療育で音声模倣の訓練を開始した頃は、どの単音の模倣もできませんでした。その息子が、1歳台で数回、「まんま」と発語したことが今でも信じられません。息子がどういう状況で発語したのかを思い出してみると以下のとおりでした。

・おなかがすいている様子で、泣きながら「まんま」と私と妻に言ってきた。
・私が遅めの帰宅で1人で夕食を食べている時に、近寄ってきて「まんま」と言った。

今、振り返ってみると、「まんま」は、私と妻が息子が2歳になるくらいまで毎日、何度も息子に言い聞かせていた言葉です。また、息子は、1歳台から、食べ物への関心がとても高く、暇さえあれば、何か食べたそうにしている感じでした。
以上、たった1つの事例からの考察になりますが、私は、子供の関心が高い物の名前をたくさんいい聞かせ続けていると、その言葉を子供が発語する可能性が高くなるのではと考えています。

2.外でいっしょに遊んでいるときなどに音声模倣を試す
息子は、言葉を獲得していく過程で、公園などでいっしょに遊んでいるときや息子が好む場所に外出しているときは、自宅にいるときより明らかに言葉が出やすかったと記憶しています。当時、私は、家の外で、楽しい気持ちになっているときは、言葉が出やすいのではないかと考えていました。これは、個人的な考えですが、この考えでいくと、勉強部屋等で身動きがとれない状態にされて、勉強をさせられている状況では、言葉が出にくいと感じるのです。
 よって、例えば1時間ずっと勉強部屋等で音声模倣の訓練を続けるよりは、そのうちの10分でも15分でも、おもいきって、外に出て、子供の喜ぶ遊びをしてあげながら、ところどころで音声模倣を試す方が子供の発語を促すためにも、また、子供の心身にもよいと思うのです。

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