言語獲得への歩み⑤音声指示 

ABA療育で、マッチング、動作模倣、音声模倣に続いて行ったのが音声指示の訓練です。
音声指示は、例えば、子供に”頭”と指示して頭を触らせる訓練です。この音声指示については、息子は、マッチング・動作模倣・音声模倣に比べると、順調に習得できたと思っています。恐らく、家庭療育を開始して以降、息子に日常的に手伝いをさせたり、簡単な指示を出して従わせるといったことをやっていましたので、それによって、ABAで音声指示の訓練を始める前に、そのスキルが少し身に付いていたからではないかと考えています。
私は、音声指示は、マッチング・動作模倣・音声模倣に比べると、日常で取り組みやすく、かつ、努力が報われやすい訓練という印象を持っています。なので、息子のように言葉や知能面の発達の遅れがある子に対しては、早期から、できる範囲で、手伝いや指示に従わせるということをやっておいた方がいいと思います。
以下、息子が音声指示を習得するまでの経過になります。

〇息子が音声指示を習得するまでの経過
我が家では、まず、”頭”と言って、頭を触らせる訓練から始めました。そして、息子がそれを習得した後は、”パチパチ”、”バイバイ”、”立って”、”ねんね”・・・と指示に応えられる動作を増やしていきました。
息子は、”頭”以外の顔や体の部位を指示どおりに触ることは、なかなかできるようになりませんでしたが、それ以外の指示(物を使わない動作の指示)については、順調に訓練が進み、音声指示の訓練を始めて1ヶ月経つ頃には、新たに試みる指示を短時間で習得できるというレベルになっていました。
物を使わない動作の指示について、ある程度習得できたと感じましたので、次は、物を使った動作の指示の訓練を行いました。物を使った動作の指示は、例えば、息子の前にコップなどの物を置いて、「持って」、「振って」などと指示を出して、そのとおりに動作をさせる訓練です。息子は、物を使った動作の指示についても、1ヶ月ほどでまずまずできるようになりました。
この後、ABAでは、名詞を覚えさせる取組みに進みましたが、音声指示の訓練も短時間ですが、時々、行うようにしていました。
結果的に、ABAの音声指示の訓練を開始して、4ヶ月ほど経つ頃には、息子は、日常で、指示に応えられることが増え、音声指示の訓練をした効果があったと感じられるようになりました。

〇苦戦した「顔や体の部位を触らせる訓練」
息子は、音声指示の取組みの中で、顔や体の部位を触らせる指示については、習得するまでにかなりの時間を要しました。この取組みについては、我が家では、ABAで1~2ヶ月間、訓練を続けたのですが、息子は、新たに1つの部位について指示どおりに触ることができるようになっても、今までできていた部位について指示どおりにできなくなっているといった感じでずっと停滞していました。そこで、ABAで習得させることはあきらめて、風呂に息子といっしょに入っているときに、顔や体の部位を1か所ずつ息子に言わせながらその部位を触らせるといったことを続けていましたところ、1年ほど経った頃、気がつけば、息子は、顔の部位(頭・目・鼻・口・耳・ほっぺ)や体の部位(肩・おなか・手・ひざ・足)を覚えて、指示どおりに触ることができるようになっていました。
息子からすると、指示どおりに顔や体の部位を触ることは、他のものと比べて、難度が高かったようですので、我が家のようにABAでなかなか習得させることができなくても、生活の中で気長にコツコツ取り組んでいくのもいいのかもしれません。
ちなみに、息子は、顔や体の部位を触る指示を理解できるようになったのが3歳6ヶ月のときですが、それまでの間、顔や体の部位が分かっていないことで、生活の中で支障をきたす場面は1度もありませんでした。

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