足し算の暗算の教え方(年中・年長用)前半

5歳前になっても数の概念がなかった息子ですが、数の理解を促す取り組みを行った結果、数の理解力が上がってきたので、足し算の暗算(合計が10以下)を教えることにしました。
知的障害のある5歳児に暗算を教えようとすることは無謀と思われるかもしれませんが(実際に妻にそう言われました。)、3~4歳台で期待したほど知力が上がってこなかった息子に対して、知力を上げる可能性のあるものなら何でも試したいという強い気持ちがあり、その中で思いついたのが”暗算をして脳を鍛える”というものでした。
そして、息子の普段の様子を見ていて、息子には、自閉症ならではの”視覚優位”や”数字への執着”といった強みがあることを実感しましたので、こうした強みを生かした教え方をすれば、必ず暗算を習得できると思い、取り組みを始めました。
息子が5歳4ヶ月のときから暗算を教え始めて、約4ヶ月かかりましたが、息子は、45ある合計が10以下の足し算のすべてについて暗算ができるようになりました。
息子に暗算を教えた過程は、以下のとおりです。

​​​​​​​Step1
まずは、遊び感覚で、”足すこと”に慣れさせようと、透明の筒に1~10の数を書いたものとボールを用意し、以下の取り組みを行いました。

①ボール1個を見せながら、「今〇個入っているよ。1個入れたらいくつになる?」と聞き、答えられたら、ボールを入れて「正解」、答えられなかったら、ボールを入れて「△個になったよ。」と言い聞かせる。
以上のことを0→1個→2個→3個→4個→5個→6個→7個→8個→9個→10個と行う。

②ボール2個を見せながら、「今〇個入っているよ。2個入れたらいくつになる?」と聞き、答えられたら、ボールを入れて「正解」、答えられなかったら、ボールを入れて「△個になったよ。」と言い聞かせる。
以上のことを0→2個→4個→6個→8個→10個と1個→3個→5個→7個→9個の2通りで行う。

③ボール3個を見せながら、「今〇個入っているよ。3個入れたらいくつになる?」と聞き、答えられたら、ボールを入れて「正解」、答えられなかったら、ボールを入れて「△個になったよ。」と言い聞かせる。
以上のことを0→3個→6個→9個と1個→4個→7個→10個と2個→5個→8個の3通りで行う。

④ボール4個を見せながら、「今〇個入っているよ。4個入れたらいくつになる?」と聞き、答えられたら、ボールを入れて「正解」、答えられなかったら、ボールを入れて「△個になったよ。」と言い聞かせる。
以上のことを0→4個→8個と1個→5個→9個と2個→6個→10個と3個→7個の4通りで行う。

⑤入れるボールの数を固定せず、ランダムにして①~④と同じことを行いました。

[補足]
・2個以上のボールを筒に入れるときは、1個ずつ入れるのではなく、写真のようにボールをくっつけた状態で一気に入れる。​​​​​​​​​​​​​​​​​​​

Step2
数字(1~9)を書いた紙、+を書いた紙、積み木、積み木10個分の枠を書いた紙を用意し、以下のとおり取り組みを行いました。

①以下のとおり配置し、「1に1を足したらいくつになる?」と聞き、答えられない場合は、積み木1個を枠に足して答えさせる。

「2に1を足したらいくつになる?」と聞き、答えられない場合は、積み木1個を枠に足して答えさせる。

3+1、4+1・・・9+1まで同様に行う。
そして、すべての数式について、積み木1個を足さなくても答えられるようになるまでこの取り組みを続ける。

②以下のとおり配置し、「1に2を足したらいくつになる?」と聞き、答えられない場合は、積み木2個を枠に足して答えさせる。(積み木は、ひとかたまりにして置く。)

「2に2を足したらいくつになる?」と聞き、答えられない場合は、積み木2個を枠に足して答えさせる。(積み木は、ひとかたまりにして置く。)

3+2、4+2・・・8+2まで同様に行う。
そして、すべての数式について、積み木2個を足さなくても答えられるようになるまでこの取り組みを続ける。

③以下のとおり配置し、「1に3を足したらいくつになる?」と聞き、答えられない場合は、積み木3個を枠に足して答えさせる。(積み木は、ひとかたまりにして置く。)「2、3、4」と言い聞かせながら積み木を置いてあげると子供が理解しやすいと思う。

「2に3を足したらいくつになる?」と聞き、答えられない場合は、積み木3個を枠に足して答えさせる。
(積み木は、ひとかたまりにして置く。)「3、4、5」と言い聞かせながら積み木を置いてあげると子供が理解しやすいと思う。

3+3、4+3・・・7+3まで同様に行う。
そして、すべての数式について、積み木3個を足さなくても答えられるようになるまでこの取り組みを続ける。

④以下のとおり配置し、「1に4を足したらいくつになる?」と聞き、答えられない場合は、積み木4個を枠に足して答えさせる。(積み木は、ひとかたまりにして置く。)「2、3、4、5」と言い聞かせながら積み木を置いてあげると子供が理解しやすいと思う。

「2に4を足したらいくつになる?」と聞き、答えられない場合は、積み木4個を枠に足して答えさせる。
(積み木は、ひとかたまりにして置く。)「3、4、5、6」と言い聞かせながら積み木を置いてあげると子供が理解しやすいと思う。

3+4、4+4・・・6+4まで同様に行う。
そして、すべての数式について、積み木4個を足さなくても答えられるようになるまでこの取り組みを続ける。

(後半に続く)

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